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タスク設計(手順E・バッファー)

タスク設計(手順D)から引き続き、ここでは、E バッファーの考慮について、説明をしていきます。

【タスク設計の手順】
@ 概要レベルのタスクの列挙
A 概要レベルのタスクの優先順位付け
B 概要レベルのタスクをブレークダウンして詳細化
C 詳細タスクの作業時間の見積り
D タスクの前後関係を踏まえた具体的な日時の記載
E バッファーの考慮

D タスクの前後関係を踏まえた具体的な日時の記載までで、タスク設計という意味では概ね完了しており、タスク設計の記事を完了としても良かったと思います。

ここで敢えて、Eバッファーの考慮を追加した理由はこのバッファーという考え方が、とても重要なのにもかかわらず、忘れられやすいからです。

バッファーとは一体何でしょうか?

バッファーとは日本語では緩衝材というような意味になります。タスク設計におけるバッファーもまさに緩衝材の役割を果たしています。

タスク設計(手順D)で作成したスケジュールはどれか一つのタスクが大幅に遅れると全体スケジュールに遅延生じてしまいます。

例えば、「B-1.朝食を準備する」というタスクは15分で完了する想定でしたが、アクシデントがあり、45分かかってしまったとすると、その時点で、予定から30分遅れです。

この遅れを取り返すすべは現状のスケジュールを見る限り、以降のタスクを出来る限り迅速に終わらせるしかありません。これでは、品質低下やミスが起こることは否めません。

このような事態を避けるために、バッファーを設けることが重要になってきます。バッファーの設け方には大きく3つの方法があります。

@バッファー期間を全体スケジュールに盛り込む。例の場合「E-1.身支度をする」の完了時間を10時としていますが、これを9時半に終わらせるようにして、タスク全体を30分前倒して計画します。するとこのスケジュールは30分のバッファーを持っていることになります。ですから、「B-1.朝食を準備する」というタスクが30分余計にかかってしまったとしてもバッファー期間で吸収することができます。そのため、以降のタスクを予定通りの時間で終わらせれば、全てのタスクを完了して、10時に「E-2.出かける」ことが可能です。

タスク設計(手順E・バッファー)

Aできれば良い(Nice to have)タスクをバッファーとしてしまう。「D.掃除をする」というタスクは、Nice to have(できればなお良いタスク)であるため、バッファーとしておくことができます。例えば、「B-1.朝食を準備する」というタスクが30分余計にかかってしまった場合には、「D.掃除をする」というタスク全体を実施しなければバッファー時間を35分確保することになるので、超過時間の30分を吸収することができます。

タスク設計(手順E・バッファー)

Bそれぞれのタスクにバッファー期間を含めて工数を見積もる。例の場合には、「B-1.朝食を準備する」というタスクには作業時間が延びるリスクがあるため、予め、長めにタスクを設計しておくという方法があります。「B-1.朝食を準備する」は15分ではなく、40分取っておくというような具合です。他にも「E-1.身支度をする」は15分としていますが、一泊する予定のため、普段よりも身支度に時間がかかる可能性があるので、バッファーを含めて40分と見積もるというようなことが考えられます。

タスク設計(手順E・バッファー)

実際のプロジェクトの現場では、@バッファー期間を全体スケジュールに盛り込むか、Bそれぞれのタスクにバッファー期間を含めて工数を見積もることのどちらか、もしくは両方でバッファーを持たせることが多い気がします。

@バッファー期間を全体スケジュールに盛り込むであれば、予備日や予備期間を設けるという方法でバッファー期間を設定します。一方、Bそれぞれのタスクにバッファー期間を含めて工数を見積もるでは、遅延リスクの高いタスクに対して長めに工数を積み、遅延リスクを極小化するようにします。

以上、タスク設計の6つの手順について、身近な例で説明をしてきました。タスク設計は、プロジェクトにより多少の違いはあるかもしれませんが、本質的な考え方は変わりません。

また、日々のタスクについて、ここまで手間をかけてタスク設計をする必要はありません。しかし、タスク設計の流れを意識して、日々の業務に当たると、プロジェクト全体のタスク設計にも応用できると思います。

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